おめでとう
月曜日
また、忙しい日が始まる
人がひとり、いなくなっても、
日常は普段通りに流れていく
ただ、時々ふっと考えたり思い出したりしたいから
来週と再来週に、デスカンファレンスを計画した
此処でまた
ふりかえり、命や暮らしを考えたい
そんな慌ただしい時間の午後、
同僚が、「甘いもの、食べよう!」と言い出して
一緒にケーキを買いに行った
みんなでお茶を飲みながら、彼女は
「Aさんが天寿を全うした、お祝いだよ。」と言う
「まてまて、なんでお祝いやねん」とヘルパーが苦笑すると
「95歳まで生きたんだから、お祝いでしょ!」
と言い返し
「うちの田舎では、紅白饅頭やわ」と胸を張った
たしかに
年齢はともかくとして
「私は、ここがええねん。病院には行かない。」と言ったAさん
訪問看護が音を上げて
主治医に入院させるよう相談に行ったという
それを聞いたケアマネが、
「病院へいく?」と本人に聞いたら
ううん、と黙って首を振ったという
もうギリギリやなあ、と様子を見に訪問すると
「もっと、やさしく、して!」と
訪問看護師にはっきり言った、Aさん
自分の思いをこれでもか、と伝えて
決してかわいいお年寄りではなかったけれど
誰よりも自分らしく生ききったと思う
本当だわ
おめでとうだよね
自分らしく、最期まで
ちゃんと自分の生命を全うできたこと
何よりもめでたいこと
ケーキを食べながら、みんなで言った
「Aさん、おめでとう。美味しいケーキをありがとう」
