30万の女
ここ数日、落ち着きなく動いている居宅の認知症男性
今週に入って2回目の救急搬送で、昨夜は迎えがなく泊まりになった
地域で支えてくれていた民生委員さんが疲弊し
自宅に戻る道は断たれてしまった
今回は泥酔して倒れているところを搬送されたお酒トラブルなので
本人に聞く
「こんなことになっても、迷惑かけてるのに、お酒やめないの?」
と聞くと
「やめられんなあ。‥やめたいけど。半々の気持ちや。」
なるほど、半々なら気持ちはあるので、いただきました
ということで、救急病院に迎えに行った後、
依存症治療の精神科へ受診した
入院にはならなかったが、内服処方を受け
排泄の失敗に汚染した衣類の洗濯に買い物
職員へのセクハラ行為、徘徊
長い濃い一日だった
主治医から厳しく言ってもらい、今日からうちのショートを
利用することになった
一時保護状態である
それでも、夜間に様子をみていく職員の負担を考えると
居室のカメラは欠かせない
設定に四苦八苦していると、当の本人がやってきて
封筒を渡してきた
「これ何?」
「やるわ、迷惑かけとるから」
「?」
分厚い封筒には30万が入っている
「なんで?こんなんいらん」
と返すと、がっくりした表情
「‥喜んでもらえると思うたのになあ‥」
「今までも、こんなしていろんな人にお金渡してきたんやろ」
「‥‥。」
「なんでそんなことするの。大金を簡単に人にやるもんじゃない。」「‥‥。」
「人にお金あげて、どうすんの?お金で人つなげたらあかん。」
「‥‥そうやなあ」
「しもといて」
「はい」
そうは言うと大人しくなり、セクハラ発言は封印された
30万か
今までそうして人にばらまいてきたんだろうなあ
大金だけど、30万の女と思われたのは安く見られた気もするし
などと考えながら、担当ケアマネに告げると
「あー、もらっといてほしかったかも」
お金を持たせると酒を買いに行くので
本当は預かりたいこと
本人がお金を離さないので、困っていた、という
それでも、ショート利用中はお酒を買いに行くことも
出かけることもないので、そのままでも良いかと持たせていた、と
そうか
30万に気を取られてしまったが
次、出されたら、知らない顔して預かることになった
なんだかザワつく
30万の女
